作品
「海のこと山のこと」では、古来より日本列島の動脈を形成してきた、海と山を結ぶ生業の姿を表現します。
「在郷まわり」とは、能登でおこなわれていた海と山との交易です。リアカーに魚の保存食を詰めた一斗樽を積み、かつての行商を再現します。
「五芒星」とは、海女が身につける魔除けの印で、セーマンともよばれます。上黒丸の南山地区の起点に5つの集落を五芒星で結び、それぞれの頂点にスター★ドームを設置し、海と山をことほぐ儀礼の場を再生します。
こんか街道 在郷まわり
北陸の伝統的な保存食である魚の糠漬けは、能登では「こんかづけ」といい海から山へ行商の主力産物であった。こうした行商はかつてはナダマワリとよばれ、河口に停泊させた船を拠点に村をまわった。また、ダンナンバとよばれる得意先に宿をかりリアカーを使い周辺の家々に売って歩くこともあった。
こんか街道 在郷まわり
海産物は基本的に米などと物々交換された。秋の初めに海産物を置いて歩き、帰りに収穫された米で回収したという。今でも、軽トラの日帰りではあるが、海と山との行商の慣習は続いている。
こんか街道 在郷まわり
「こんか街道・在郷まわり」では、芸術祭の開始の9月はじめに、リアカーに「こんかづけ」をつめた一斗樽を積み、5組が異なる5つのルートで上黒丸を目指して米と物々交換をしながら行商をおこなう。
こんか街道 在郷まわり
行きのルートでは家々に魚を配り、芸術祭の終わりの10月末には逆ルートで米を回収しながら輪島・舳倉島に戻る。メディアを通じて告知をおこない、地域の人々の歴史と記憶を呼び起こしながら、現在の新しい在郷まわりを実現する。
セーマン☆ドーム
「セーマン」とは海女が海に潜るときに身につける魔除けの五芒星である。その語源は陰陽師、安倍晴明に由来する。上黒丸地区の5つの集落、南山・吉ヶ池・洲巻・上正力・北山を結ぶ五芒星の頂点に、それぞれひとつずつスター★ドームを設置する。棚田・森・小川・草原など、それぞれに異なる背景にあわせた空間を演出する。
セーマン☆ドーム
集落に点在して設置されたドームは、白い布をかけることで即設の舞台やギャラリー空間となり、芸術祭の会期中に上黒丸をおとずれるアーティストたちの表現の場としてシェアする。集落の高齢者も気安くワークショップに参加しパフォーマンスを見る事ができる。
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